昭和49年9月 台風16号

● 災害の原因となった気象現象
8月26日サイパン島付近で発生した台風16号は次第に北上し、8月28日9時には中心気圧960mbの大型台風に発達した。台風16号と同時に日本近海に発生した台風17号は台風16号の影響を受け、異常な経路で弱い熱帯低気圧となって迂回した。台風16号が日本本土に接近したころには、日本海北部から北海道にかけてのびていた前線が、8月31日に南下を示し、末端は関東地方にかかって停滞し、この前線による気圧配置が台風16号の関東上陸を回避させた。この影響で、利根川・荒川・多摩川流域一帯に大雨をもたらした。多摩川上流域では8月30日22時頃から降雨がはじまり,31日19時頃から強雨となった。 (*1)

● 災害の概要
多摩川流域では、家屋損壊19棟、浸水家屋1,270棟、ほか堤防の決壊や橋梁の流失などの被害がありました。 (*5)
中でも特に、9月1日午後から狛江市の二ケ領用水宿河原堰堤の左岸取付護岸が崩壊し、堤内地をえぐるように浸食しはじめ、民家16棟が流失したことは、人々の記憶に強く残っています。 (*1)
堰に突破口を開けるため、計13回にわたって堰を爆破しました。 (*8)
荒川流域では、飯能市の刈場坂峠で総雨量495mmとなり、荒川・治水橋地点では翌1日から水位が上昇し、2日午後4時には警戒水位を2.61m上回る最高水位を記録した。総雨量は、荒川上流部380mm、入間川流域220~320mmに達した。流域では、護岸や堤防法面の破損など40箇所に被害がありました。 (*4)
荒川流域の被害は死者・行方不明者3名、浸水家屋1,329戸でした。 利根川流域では、降水量119㎜/3日、ピーク流量5,960m3/s(八斗島)を観測し、家屋損壊 5棟、家屋浸水2,786棟などの被害がありました。 (*3)
栃木県では、家屋損壊1棟、家屋浸水206棟、堤防決壊379箇所、橋梁流出12箇所の被害がありました。 (*6)

● 洪水氾濫区域(不明)

● 被害状況

 浸水面積

 1,899.3ha(*7)

 家屋損壊

 3棟(半壊床上浸水251棟)(*7) 多摩川19棟、利根川5棟(*1)

 家屋浸水 

 6,008棟(*7)

 死者・行方不明

 荒川流域3名

 負傷者

 

 堤防決壊

 荒川流域  40箇所(法面破損を含む)、栃木県379箇所

 その他

(参考資料)
  *1 多摩川誌(建設省関東地方建設局京浜工事事務所)
  *2 各都市の気象データ>1974.8.31~9.1
  *3 利根川水系>河川整備方針>既往洪水の概要
  *4 荒川上流河川事務所>荒川を知ろう>洪水の記録>昭和49年の洪水
  *5 京浜河川事務所>河川の防災>災害の記録>多摩川
  *6 栃木県>河川整備計画>防災>過去における主な災害一覧
  *7 水害統計  
  *8 多摩川電子図書館


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