1.河川災害の種類
河川災害には、下記に示すように様々な種類があります。
2.土石流
山腹、川底の石や土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流されることを土石流といいます。 その流れの速さは規模によって異なりますが、時速20~40kmという速度で一瞬のうちに人家や畑などを壊滅させてしまいます。 大雨が原因で起こるケースの他、地震や地すべりで崩れたた土砂が水とまじって起こるケース、雪どけ水が土砂とまじったりして起こるケース、噴火でつもった火山灰の上に雨がふって起こるケースなどがあります。 |
(土石流のイメージ) | (土石流の事例) |
3.外水氾濫
川の上流部で降った大雨によって、川の水量が異常に増えた状態を「洪水」といい、洪水により堤防から川の水があふれたり、堤防の一部が崩れそこから水があふれることを「外水氾濫」といいます。
過去に関東地方に大きな被害をもたらした明治43年の大洪水、カスリーン台風・キティー台風・狩野川台風等による洪水などは、この外水氾濫です。近年、大河川での外水氾濫は少なくなっていますが、都市部の土地利用の変化が原因となる中小河川の外水氾濫が目立っており、地下施設の浸水など新しいタイプの被害が生じています。 |
(通常時) | (氾濫時) |
4.内水氾濫
大雨が降り川の水位があがると下水道などから川に排水できなくなり、市街地や農地などに水が溢れてしまいます。このような状況を「内水氾濫」といいます。 近年、都市部におけるヒートアイランド現象などに起因する局地的豪雨の増加が問題となっています。時間雨量が市街地の下水道などの排水能力を超え、道路が冠水する、地下室や地下街に雨水が流れ込む、マンホールから水が噴出するなどの事例が増加しています。 |
(通常時) | (氾濫時) |
5.高潮
気圧低下による海面の吸い上げ:台風や低気圧の中心気圧は周辺より低いため、周囲の空気は海面をおしつけ、中心付近の空気が海面を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇します。 気圧が1ヘクトパスカル(hPa)低くなると、海面は約1センチメートル上昇します。 台風に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が異常に上昇します。 水深が浅いほど、風の吹き寄せ作用がよく働き、高潮が発達しやすくなります。 満潮時と重なると水位は更に上がります。 河川上流部で雨が降り河川から海に流入する水量が増加することによっても海水面の高さは上昇します。 伊勢湾台風では3.89mを記録しました。 |
(吸い上げ効果) | (吹き寄せ効果) |
6.津波遡上
河川を遡上した津波は、橋梁や堤防を破壊し、市街地や農地に大きな被害を与える場合があります。 東京湾湾奥部についてはこれまで大規模な津波被害は予想されていません。 津波は海岸に近づくにつれ、水深や地形による増幅効果等により何倍もの高さとなります。津波が河川を遡上する場合は更に高くなることが多く、第1波よりも後続の波の方が高くなることもあります。 河川を遡上する津波は、陸上部へと氾濫して行く津波に比べて伝搬速度が速く遡上距離が長くなる特徴があります。(東日本大地震で北上川では40km以上も遡上しました。) |
(河川への津波遡上) |
7.破堤による海水氾濫
東京で大地震が発生した場合、東京湾岸の埋め立て地では、液状化した地盤が水平に動いてしまう側方流動が起こります。3・11でも浦安の三番瀬の護岸が1・7m動きました。阪神大震災では7mも動いた例があり、淀川の堤防が大きな被害を受けました。東京の海抜0m地帯では、一旦堤防が壊されると東京湾の海水が大量に流入し、台東区、墨田区、江戸川区等の大部分が水没する大災害になります。 |
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