昭和16年7月 台風(前線)

● 災害の原因となった気象現象
 7月下旬、台風の影響を受けた梅雨前線により大雨となり、その後の台風の接近に、伴い利根川水系では19日頃から再び降り始め、21・22日は豪雨となり、20日から22日までの3日雨量は、鬼怒川・渡良瀬川上流域では300mm以上、烏川・神流川流域で200~300mm、横浜338.5㎜、熊谷327.㎜、東京280.5㎜、宇都宮229.5㎜を記録しています。この洪水は7月10~13日の大雨と相俟って被害を大きくしました。 (*1)

● 災害の概要
利根川本川の八斗島では流量8,990㎜/sを記録し、利根川本川の下流部では中旬の洪水が減水しないうちに再び増水し異常な高水位となったため、利根川水系の各河川で堤防が損壊し、約200,000haが浸水したと推定されています。 (*1)
小貝川流域では、降水量228㎜/3日、観測流量8,990m3/s、水位5.05m(黒子地点)を記録しました。 (*2)
鶴見川流域では、降水量213㎜/2日間が観測され、家屋浸水6,730戸の被害がありました。 (*3)
那珂川(青柳)では観測水位8.23mを記録し、家屋損壊52戸、家屋浸水2,478戸の被害がありました。 (*4)
栃木県や茨城県では7月中旬の大雨と相俟って内水氾濫等により人的・家屋の被害が発生しました。 茨城県内では、11~13日の豪雨に続いての被害で、堤防決壊292箇所、山崩れ99箇所、死者行方不明6人、家屋損壊555戸、家屋浸水1,194戸の被害がありました。 (*5)
栃木県内では、堤防決壊31箇所、橋梁流失13箇所、死者行方不明5人、家屋損壊16戸、家屋浸水17,425戸、などの被害がありました。 (*6)

● 洪水氾濫区域(不明)

● 被害状況

 浸水面積

 利根川水系200,000ha(※1 利根川本川の内水氾濫の推定値)

 家屋損壊

 52戸(*4那珂川)、555戸(*7茨城県)、16戸(*6栃木県)

 家屋浸水 

 約4,300戸(*7霞ヶ浦)、6730戸(*3鶴見川)、2478戸(*4那珂川)、 1,194戸(*7茨城県)、  27425戸(*6栃木県)

 死者・行方不明

 6人(*7茨城県)、5人(*6栃木県)

 負傷者

 1人(*6栃木県)

 堤防決壊

 292箇所(*7茨城県)、31箇所(*6栃木県)

 その他

 山崩れ99箇所(*7茨城県)、田畑流出16348町歩(*6栃木県)

(参考資料)
(*1)利根川水系>河川整備方針>既往洪水の概要(利根川下流域の被害写真掲載)
(*2)下館河川事務所>小貝川洪水の記録(黒子地点)
(*3) 河川整備方針>鶴見川水系>既往洪水の概要
(*4)常陸河川国道事務所>事務所のご案内>環境百科那珂川>(1)洪水 P35
(*5)総務省消防庁>刊行物、映像データ>地域防災計画データベース>茨城県>風水害等対策計画編
(*6)栃木県河川整備計画・>『過去における主な災害一覧』 (*7)茨城県地域防災計画・風水害等対策計画編>気象災害の概要-PDF
(*8)霞ヶ浦河川事務所>霞ヶ浦の治水史>昭和16年洪水


Copylight@2015 まちづくり情報センター
このサイトは、 河川環境管理財団 の助成を受けて、 NPO法人まちづくり情報センター が運営しております。