昭和13年6・7月 台風(前線)

● 災害の原因となった気象現象
 6月末から7月初めにかけ、八丈島から南西に向かって形成されていた不連続線が、台風の北上に伴って北に押し出され、関東南部から東海地方を横切ったため、関東地方では、6月28日朝から30日まで激しい雨が降り続き、静岡県富士町(当時)から東京を経て水戸に至る東海道線・常磐線沿線の平地部では6月27~29日の3日間雨量が400~500mmに、最も降雨量の多かった地域は霞ヶ浦流域で7日間の平均雨量が600mmに達しました。  (*1)

● 災害の概要
 利根川下流部、霞ケ浦、印旗沼、小貝川などでは大洪水となり、利根川中流部、鬼怒川、荒川などの河川でも洪水が起こり、利根川水系全体(中川流域を含む)の浸水面積は214,500haに及びました。 (*1)
 霞ヶ浦では、湖水位は既往最高のY.P(江戸川工事基準面)+3.34mを記録、湖周辺と流入河川の至る所で氾濫し、排水に約1ヶ月を要しました。 (*2)
 鬼怒川では、降水量294㎜/日、流量5,401m3/s、観測水位Y.P+4.08m(石井地点)が観測され、周辺地域に洪水被害をもたらしました。 (*3)
 小貝川では、降水量296㎜/3日、観測水位Y.P+5,10m(黒子地点)が観測され、利根川の逆流もあって、洪水被害をもたらしました。 (*4)
 那珂川では、下流域の雨量が多く降水量は59時間で491.5㎜に達し、水戸近郊では広い範囲で冠水し、17,000人が被災し、橋梁流失5箇所など土木的な被害が多く出ました。 (*5)
 多摩川では、約250㎜/日の降水量を記録し、下流の六郷橋が流失しました。 (*6)
 鶴見川では、370㎜/2日の降水量を記録し、浸水家屋約11,800戸の被害がありました。 (*7)
 栃木県では、宇都宮162.5㎜、日光431.8㎜の雨量を記録し、死者8人、負傷者8人、家屋倒壊・流失577戸、家屋浸水16,345戸、橋梁流出92箇所、堤防決壊3箇所などの被害をもたらしました。 (*8)
 横浜市では、3日間で400㎜の降雨量を観測し、がけ崩れ等による死者・行方不明53人、家屋倒壊241棟、家屋浸水27,791棟が被害にありました。 (*9)

● 洪水氾濫区域
浸水区域図(昭和十三年大洪水 東京土木出張所 昭和14年3月)(土木学会デジタルアーカイブス)

● 被害状況

 浸水面積

 251ha 内、利根川152ha、中川54ha、荒川12ha

 家屋損壊

 不明

 家屋浸水 

 250,967棟

 死者・行方不明

 151人

 負傷者

 198人

 堤防決壊

 不明

 その他

 不明

(参考資料)
(*1)利根川水系>河川整備方針>水害と治水事業の沿革(被害写真掲載)
(*2)霞ヶ浦河川事務所>霞ヶ浦の治水史>昭和13年洪水(被害写真掲載)
(*3)下館河川事務所>鬼怒川洪水の記録(被害写真の掲載)
(*4)下館河川事務所>小貝川洪水の記録
(*5)常陸河川国道事務所>事務所のご案内 > 河川関連パンフレット>観光百科那珂川>(1)洪水
(*6)河川整備方針>多摩川水系>既往洪水の概要
(*7)河川整備方針>鶴見川水系>既往洪水の概要
(*8)栃木県河川整備計画>防災>『過去における主な災害一覧』 *8月30日~9月1日
(*9)横浜市>組織>危機管理室>横浜の災害>横浜市で発生した風水害



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