A01-001 GIS(地理情報システム)を活用した総合政策評価について

GISの活用効果とは? 「都市計画情報システム」構築事例から

 今、全国の自治体では評価制度の導入気運が一気に高まっている。

 行財政改革により予算の抑制が緊急課題となっているため、削減・抑制すべき事業を選定する事業評価システムを導入する自治体が多く見うけられ、政策のあり方についての評価をより重視する総合計画の進行管理などを中心とした「総合政策評価システム」の構築を目指す例が散見される。さらに評価システムの特徴の一つに、地理情報システム(GIS)を中核としたデータベースの構築などのIT(情報技術)を積極的に活用した政策評価システムの構築を目指すものが見受けられる。

 行政における評価システムは、財政や行革を重視したものや総合計画の進行管理を中心に進めるものなどいくつかに類型化できるが、いずれも帳票が重要なデータベースとなっている。自治体で工夫をこらした帳票はあらゆる情報の″宝の山″といえる。したがって、これらの膨大な情報を上手に活用することが評価システムづくりの鍵になる。計画の進行管理、予算編成など、さまざまな場面の目的に応じて、必要とするデータを容易に取り出すことができる使い勝手のよさが求められる。このためにはITを活用したシステム設計は避けて通れない課題となっている。

 このような課題に対応するため、**市の総合政策評価GISの基本的な考え方やこれまでの取組み状況などについて、具体的な事例をあげて述べてみたい。


総合政策評価GISの基本的な考え方

 ITの技術革新はめざましく、高度な処理を誰でも比較的簡単に行うことができるようになってきている。本市では、総合政策評価システムの構想段階から評価情報のデータベース化や、GISを利用した地域情報データベースの作成は不可欠なことと考え、当初からIT活用を意識した仕組みづくりを進めている。


(1)総合政策評価GISシステムの位置づけ

 GISとはGeographic Information Systemで地理情報システムと訳される。バラバラに管理されていた多くの情報を、地図という共通の基盤の上に乗せることで統一的に管理することができる。
 また様々な情報を横断的に、自由に組み合わせることが可能になるので、いろいろな角度からの分析が可能になったり、地域の問題点を把握したりすることが可能になる。

 より地域に近いところで計画を評価するなど、地域の課題はできる限り地域に近いところでその効果や成果を考え、新たな政策課題の発見につなげていく″地域の視点″総合政策評価システムの中心に据えている。このため、きめこまかな地域情報に基づく効果的で質の高い政策評価、政策分析及び施策立案などを支援するシステムとしてGISシステム(政策評価GISシステム)は欠かすことのできないツールであると考えており、市民にも職員にも分かりやすく、広く活用できるシステムづくりを目指している。

 現在、**局、*****局が中心となって、全庁で地図情報を一元化する「都市計画情報システム」を構築している。政策評価GISシステムは、「都市計画情報システム」の地図データを利用し、その上に政策評価で利用するデータの整備を行っている。平成**年度には「都市計画情報システム」が本稼動することになっているので、同システムと地図の一元化を計る予定となっている。


(2)総合政策評価GISシステムの活用の範囲  

 従来から事業の状況、情報はその事業を所管する事業局が所掌しており、他の局が事業の状況を知りたいと思っても、なかなかその情報が手に入らなかった。事業の概要は事業局の年報等で知ることができたとしても、なぜその事業が必要なのか(その事業が必要となった社会的背景は何か)、その結果もたらされた社会状況の変化等を把握することは容易なことではなかった
 特に従来の情報収集のやり方だと、関連する統計書や事業局年報等を机の上にいくつも並べて、必要な情報を拾っていた。GISを利用すると、パソコンの画面上に事業のデータ、統計的なデータ、各種アンケート調査の結果などを地図上に重ね合わせることにより、一目で地域の情報や事業の情報を知ることができるので、簡単に情報収集を行うことができる。

 具体的にはどんな場面ぞ活用できるのか。概ね以下のことが考えられる。

 @ どこで何をやっているのか(事業概要、実施状況の確認)

 A なぜその事業が必要なのか(事業実施の背景及び必要性)
 
 B 事業の結果として社会状況がどのように変化したのか(成果の確認)

 C 事業を継続するのか、それとも社会状況の変化に合わせて見直しを行うのか
  (事業の継続、拡
充、廃止の判断)


 GISでは、画面の地図上に複数の情報を重ね合わせたり、統計情報を地図に投影し塗り分けやグラフ等を使用して地域特性を表示させたりすることができるので、地域特性を視覚的に分かりやすく表示し、地域実態を即座に把握することができる。こうしたことは市民に対しても、現在どういうことが問題になっているのか、何を解決したいのか、何のための事業なのかといった説明の道具として極めて有効である。また、庁内においては、他の部局でどんな事業を行っているのかということを知ることができるようになり、庁内におけるコミュニケーションの道具として活用することもできる。